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 丈夫で永持ちする安全な家創り
 いくら便利で快適でデザインが良くても、25年や30年で壊してしまうような家はいい家ではありません。まずは「なりわい、ありき」です。また、メンテナンスにも、あまりお金がかからない事も大事です。
 伊東工務店で創る家は70年、80年は持つ家創りを目指しています。想いは100年です。雨が多く湿度の高い山陰の気候風土で丈夫で永持ちする家創りを心掛けています。これから、ますます高齢化社会になっていきますが、年をとってからメンテナンスにあまりお金をかけたくないですね。
 
 住む人が健康で「住み心地のいい」家創り
 自然素材で造り、バリアフリーだからという程度の、その場しのぎの家創りでは健康住宅とは言えません。高気密・高断熱な高性能の家造りでなければ、真の健康住宅とは言えません。住まいがどれだけ健康でいられるか、建物が健康でいられるかを大事に考えたいです。自然素材で造る事はもちろん大事ですが、「結露・カビ・ダニの発生しにくい事」「室内・床下の空気環境が良好な事」「室内温熱環境において各室で温度差が少ない事」「高齢者に対応する家造りとする事」、以上のような条件が揃って初めて健康住宅と言えます。島根県は全国でもトップクラスの老人県ですから、尚更です。
 
 省エネルギーで暮らせて地球に優しい家創り
 地球の温暖化などの地球環境保全の事を考え、出来るだけ少ないエネルギーで効果的な冷暖房ができるような家創りを真剣に考えなければいけません。そのためには、熱を入れない、出さないための断熱性能と、空気の出入りをコントロールするための気密性能を良くすることが大事です。
 地球温暖化により、100年先には日本の面積の3倍に相当する陸地が水没するというデータも出ております。
 
 トータルバランスのとれた実用を優先する家創り(設計)
 木を見て森を見ないような設計はしない事です。視点を「モノ」から「全体」へ転換して総合判断をする。いくら、間取りや使い勝手が良く、内装や設備を豪華にしても、地震ですぐ壊れるような壁の配置をしたり、断熱や気密のような目に見えない部分をおざなりにするような設計、つまりデザイン優先で気候風土に逆らった設計では、「いい家」はできません。
 山陰地方特有の多雨多湿の対策を取って、実用優先の設計を心掛けています。
 以上のように、建物は一点だけに力を入れても意味がありません。住む人のライフスタイルも考えながら、限られた予算の中で最高の出来になるよう、トータルバランスの取れた設計を心掛けています。
 伊東工務店では設計から施工まで一貫して行っています。
 
 こだわりを遂げるための手段
 伊東工務店は耐久性と住み心地にこだわっております。そのこだわりについて、少し説明します。
 
 
基礎について
 当社の基礎は、地中梁方式ベタ基礎、またはダブル配筋耐圧盤方式ベタ基礎です(よく見かける、シングル配筋の土間式ベタ基礎でなく)。ベタ基礎で注意する事は、基礎自重が重いため、ひどい軟弱地盤・地耐力にばらつきがある場合などは地盤改良が必要な場合もあります(調査による)。
 ベタ基礎にする理由は、
(1) 耐震性もありますが、それより白アリが侵入しにくく、湿気が上りにくいという事の要素が強いです。これは上の木構造を長持ちさせる事に通じます。
(2) コンクリートを蓄熱体として利用するため。これは住み心地に通じます(冬暖かく、夏爽やか)。
 地中梁方式・耐圧盤方式にするのは、内部の布基礎はなるべく連続させずに独立させます。布基礎には軸力と剪断力だけを負担させ、曲げは地中梁・耐圧盤に負担させる設計をしています。地中梁にするか耐圧盤にするかは、建物のプランニング型状によって有利な方を採用します。これは、床下の通風・通気を良くして乾燥・カビの発生を抑え、木構造を長持ちさせるためと、床下の点検・メンテナンスをしやすくするための手段です。

 基礎を蓄熱体として利用するには、基礎断熱が必要になります。断熱には、断熱材を外に張る「外断熱」、内に張る「内断熱」の二つの方法があります。白アリの害を受けにくい事やコストを考えると内断熱という事になりますが、性能で勝負すると、どうしても外断熱に軍配が上がります。 内断熱の場合、どうしても断熱ラインが切れてしまう冬場、外気が下がった時に、アンカーボルト土台と基礎の間に結露が発生する可能性があります。もう一つ外断熱が優位な点は、外断熱がコンクリートの中性化を防ぐのに非常に有効な手段だという事です。中性化とは、コンクリートの中の水酸カルシウムと空気中の炭酸ガスが反応を起こし、コンクリートのアルカリ性が失われる現象です。これによって中の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートをひび割れさせ、そのせいでコンクリートが50年も保たない事もあります(最近大きな問題になっています)。いくら上の建物が100年保っても、基礎が50年しか保たないのでは話になりません。
 ただ、基礎を外断熱にする場合、注意しなければいけない事があります。それは白アリ対策です。白アリは目が見えないため、物に沿って進む習性があります。いくらベタ基礎でも、横に沿って進んで行った先に断熱材があれば、それが蟻道となり、白アリが断熱材を通って上の木材に到達する可能性がありますので注意が必要です。
  対策としては、白アリがかじらないガラス発泡材の断熱材を使用するか、断熱材の外側に白アリより小さい目のステンレス、メッシュを張る方法があります。ただしステンレス、メッシュを張る方法はカネカの特許(TMFS、ターメッシュホームシステム)で、ソーラーサーキット工法を採用しないと施工出来ません。どちらも施工には注意しなければいけない点があります。
 また防蟻剤の入った発泡断熱材もありますが、統合生物の白アリには効果が無いみたいです。白アリは触れてかじられる物はなんでもかじります。白アリは多くの個体が集まって生活する統合生物です。毒入断熱材をかじって死んでも、後から、次から次へと屍を乗り越え突破してしまいます。

●白アリ対策法
 白アリから木材を守るには、薬剤に頼る方法と、薬剤に頼らず、物理的に守る方法とがあります。伊東工務店では、住む人の健康を考慮して薬剤による防蟻処理はしていません。まして高気密住宅となればなおさらです。また、薬剤は5年の保障しかありません。
 昨今の住宅は風呂はユニットバス、トイレも床張りとなり、ベタ基礎コンクリートを全面に打つ事により地中よりバリアーを作る事が出来るため、床下を点検する事が出来るキチンとしたベタ基礎を造れば、床下の防蟻処理はさほど重要でないと思います。健康に害のある薬剤を使用したり、高いお金を出して黒い炭の液を塗ったりしても、効く効かないは別にしても、あまり意味のない事だと思います。
 ただし、ベタ基礎の施工は次の事に注意して入念に行う必要があります。
◎コンクリートの品質管理、クラック対策
特にクラックは白アリの進入口となりますので注意が必要です。コンクリート打込後の入念なタッピングや、夏場の水養生等が重要です。
◎設備配管廻りの処理
基礎を貫通させる場合はボイド配管はせず、直接配管としてコンクリートを密実に打ち込む事が必要です。 給湯配管の断熱材もはぎ取る事も必要です(怠ると断熱材から白アリが進入する恐れがあります)。
◎ポーチ、玄関、勝手口の入口の土間コンの取合の処置
実はベタ基礎の白アリ対策で一番注意をしなければいけないのは、この場所と基礎と立上り仕上モルタルとの間です。入り口廻りの土間コンは基礎と一体打ちをするなどして、地中より絶縁する工夫が必要です。基礎の仕上モルタルについては、仕上モルタル無しの打ち放しにするか、どうしても塗る場合は上部を全体に少し残して蟻道確認が出来る様にしておく必要があります。最近ベタ基礎で白アリが入る場合は、基礎立上りコンクリートと仕上モルタルの間を進入する例がかなり出ているらしいです。特に発泡材入りの軽量モルタルは始末が悪いらしい(白蟻駆除屋さんの話)。

●基礎外断熱の注意点
◎ガラス発砲断熱材の施工注意点
断熱材の継手の充鎮材を入念にして継手からの白アリの進入を抑える
◎ターミメッシュ、フォームシステムの施工注意
メッシュ保護の仕上モルタルの施工を入念にする。ドライアウトにより生じた隙間から白アリが進入すると、蟻道を確認する事も出来ず、保障も出ないから始末が悪い。(施工中の断熱材を紫外線で劣化させないよう養生する事も重要です)

 その他、基礎で気を付けている事は、基礎の内部高さを40cm以上とる事です。これは、当社が住む人の健康を考えて、防蟻・防腐の薬剤は使わず、通風通気により木材を乾燥させて長持ちさせる方法を取っているためです。また、床下の点検メンテナンスが楽にできる高さは40cm以上となります。ホールダウンアンカーの定着寸法を考慮しても、この寸法になります。基礎巾は鉄筋アンカーのかぶりを考慮に入れると180以上となります。使用する材料は、コンクリートは強度210以上、スランプは15以下、鉄筋はSD295Aを指定します。
 施工面で心掛けている事は、鉄筋のかぶり、コンクリートの密実性を確保する事と、コンクリートの沈み込みによるクラックを防ぐための打設後のタッピングを入念にする事、夏場はコンクリート打込後水を張って水中養生をする事などです。
 以上が基礎についてこだわっている所です。




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耐圧盤方式ベタ基礎
(配筋状況)



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(TMFS)ターミメッシュ施工 断熱材にステンメッシュを張付け作業中(白アリの断熱材通過防止)



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ターミメッシュの上にターミパージを施工中



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基礎貫通配管廻りのターミメッシュ処理(白アリの配管からの進入防止



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完成したSC基礎



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コンクリート打設後、頃合いを見てタッピング作業(鉄筋の沈み込みによるクラック防止)




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夏場はコンクリート打設後、水張りをして水中養生でクラック防止
木構造について
 木構造は、当社が特にこだわる部分です。伊東工務店で造る家は、ムク材使用の在来軸組筋交い工法で、社員大工による手刻み加工で施工をしています。下請けに出したり、プレカットはしません。木造住宅では木工事は最も重要な部分ですので、自社員大工による責任ある仕事を心掛けています。
 手刻み加工にこだわる訳は、木材は人間と同じで性格・顔・体力もみな違います。これを1本1本、木の癖を見極めて木材の配置(木組)をしなければ、丈夫で長持ちする家を造ることはできません。例えば、木には背・腹・表・裏があります。上から荷重を受ける時には材面の木目を見極めて、背を上使いとします、逆にはね出し梁・タルキは背を下使いにします。また、樹芯のずれや木目などから、材の反る側がどの方向に出るかを読んで背同士を組むようにします。柱材は年輪幅を見て、密で狭いものを軸力のかかる所、粗くて広いものを力のかからない所に配置する…といった風に、色々と細かく見極めて墨付加工をしなければ、丈夫で後々狂いの少ない家を造ることはできません。プレカットのように、コンベアーに乗せて流れ作業で、木の背も腹もないようでは困ります。
 継手は追掛大栓・金輪・台持継を使います。プレカットで多く使われているアリ・カマ継は土台以外は使いません。継手の強度は引っ張り合うあごの断面積で決まるので、アリ・カマ継はどうしても弱いです(1/3以下)。

 当社の柱は全てコミ栓打ちで固めます。もちろん、法で定められている筋交い部分は金物で補強します。本当は、柱にズタズタと穴を開けて偏芯金物でガチガチに固める事は本意ではありませんが、法律で決められているので仕方のない事です。「コミ栓より勝る」というあの薄っぺらの金物で何年保つのか疑問です。柱芯で力を流せるコミ栓の耐力を過小評価し過ぎだと思います。当社は、コミ栓の耐力を増すため柱柄長さを120m/mとります。土台を貫通して基礎天バまで延ばします。これにより、柱の土台へのめり込みを防ぐことができます。柱の強度がいくら強くても、土台のめり込みで強度は決まります。
 使用する木材・構造材は、全てムク材を使用します。基本的に集成材は使用しません(ただし、状況により枠材・階段の造作集成材・床下地材に合板を使う場合はあります。もちろん4スターの製品です)。ハウスメーカーなどは、「集成材は狂わない・割れない・ムク材より強度が強い」などといい事だけを言っていますが、確かに初期の強度は強いですが、山陰の多湿の環境の中で30年、40年後はどうなっているでしょうか。歴史がない分不安です。調湿効果もムク材より劣ると思います。最近集成材の剥離問題が新聞、テレビ等でさわがれましたが、それを見た事かです。いくらJASマークが付いていても、現行のJAS規格には構造用集成材の剥離については厳密な規定は無く、剥離があってはならないという事にはなっていません。もし何かあった場合はわれわれ工務店がリスクを負担しなければいけません。注意が必要です。

使用する標準材種サイズ
土台‥‥
柱‥‥

小屋梁‥‥

胴差し、梁、桁‥‥
桧又は米ヒバ 120角
杉又は桧 120角以上
通し柱は150角以上(挽き立て寸法)
松、丸太
サイズはスパンによる
樹齢100年以上のカナダ松
サイズはスパンによる

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社員大工による丸太梁の手刻み作業状況



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上棟作業
桁が追掛大栓継により組み入れるところ。後方は丸太梁の台持ち継ぎ。



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柱柄は全てコミ栓打込です



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耐震 H、D金物
 樹齢100年以上にこだわるのは、芯去り材で木取りをするためです。芯持材で木取りした物よりも、割れやねじれを抑えることができます。芯去り材で木取りするためには、同じサイズの梁を取る場合でも、樹齢の多い茎の大きい材でないと取れません。従って、コストは多少高くなりますが、樹齢の多い木は年輪幅も密で狭く、強度があり長持ちします。
 木材の強度・耐久性は、同樹種の場合、樹齢と年輪幅で決まります。樹齢の少ない年輪幅の粗い木より、樹齢の多い年輪幅が密で狭い木の方が、強度・耐久性ともにあります。同じサイズの材でも樹齢35年の材と100年の材では随分と違うので、こだわる価値のあるところです。値段は後者の方が少し高いですが、耐用年数を考えると逆に安くなります。目に見えない所にいかにお金をかけるかで家の価値は決まる、と言っても過言ではありません。

 設計時のこだわりは、強度・耐久性を増やすため、ひとまわり大きいサイズの構造材を使うようにしている事です。普通一般の2、3割増です。建物を支える筋交いの設計は、壁量は基準法の1.5倍以上を取ります。筋交いをいくら多く取って強くしても、つり合いの悪い配置ではだめです。大事なのはつり合いです。当社では、偏心率計算でつり合いを出します。平面計画からこの事を考慮に入れて、偏心率が0.15以下になるよう設計します。いくら壁量が1.5倍で品確法の最高等級をとろうとも、バランスが悪かったらどうにもなりません。屋根材は耐震を考え、出来るだけ軽量で耐久性があり、メンテナンスがかからない物、外壁はできるだけメンテナンスが少なくて済むもので設計するようにしています。
 木材の乾燥について。当社で使用する木材は、基本的には造作材は人工乾燥材、構造材は自然乾燥材です。構造人乾材は、目のつんだ質のいい材があまり流通していませんので(別注すればありますが、値段はかなり上がります)自然乾燥です。当社で使うサイズはだいたい決まっているので、前もって製材し、桟積み天日乾燥をして随時使いまわします。そして、上棟後約1ヶ月間乾燥養をとり、金物を締め直してから外壁工事に入ります。従って、当社は工期を6ヶ月前後いただきます。自然乾燥の場合は若干の木痩せは出てきますので、その対策としては、木痩せに追従する、耐震ナット、ワッシャーを使用して緩みに対処します。

木構造を永持ちさせるには、
◎雨漏りや結露で木材を腐らせない
◎通気をして木材を常に乾燥させる
◎白アリがつかない対策を取る
 以上の事を守れば、20年や30年で家を壊すことは無いでしょうし、大地震の時も、白アリや結露で、土台、柱、筋カイ等が傷んでいなければ倒壊も免れ、木造は弱いなどと言われないでしょう。



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樹齢150年の芯去り材(左)
樹齢40年の芯持材 (右)
【▲拡大できます】



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木材の天日自然乾燥状況




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耐震ナット、耐震ワッシャー(用途により使い分けます)
健康・省エネ・住み心地について
 まず健康住宅の基本は、化学物質を出さない自然素材(ムク材)を使う事になりますが、ムク材にも弱点があります。工業製品と違って木は呼吸しているので、割れ・反り・目スキが絶対に出ないとは保証できません。そこの所は容認していただかないと、使用する事はできません。傷も付きやすいですし、どうしてもそのあたりが容認できない方は4スターの新建材で、という事になります。いくら4スターといっても、ホルムアルデヒト発散量は基準以下ですがゼロではありません。そこのところは実際に目で見て、手や足で触れてみて結論を出していただきたいものです。当社はそのためのモデルハウス(体感ハウス)を造っていますので、ぜひご来社いただいて実際に体感してみて下さい。ムク材には一定濃度の香りが有り、その香りが副交感神経を刺激してリラックスさせる効果もありますし、新建材のように完成した時が最高の美しさではなく、完成後時が経つにつれて美しさが増してくるのも特長のひとつです(手入れは必要です)。

 当社がよく使う自然素材の内装材について。それぞれ予算・好みにより決めます。
  床はパイン・杉・桧・桐・ナラ・サクラ等のムクフローリングです。特にお勧めは桐のフローリングです。足ざわりがやわらかく、夏はサラサラ冬は暖か、素足で歩いてもとても気持ちがいいです(畳と同じくらいの感じです)。ただし、弱点として傷が付きやすいという事はあります。最近バリアフリー住宅が多くなったのにも関わらず、部屋の中での転倒事故の発生が多くなっているそうです。フローリングの床が多くなり、冬などは素足だと冷たいので靴下やスリッパを履くため、滑ったり足がもつれたりするのだと思います。このような事も考慮に入れて材料の選択はしたいものです。
  壁・天井は、下地はホルムアルデヒドを吸収・反応・分解するハイクリーンボードを使用します。仕上げ材は、貼物の場合はエコクロスを使います。糊はもちろん4スターの製品です。塗壁の場合は、調湿、結露対策に効果がある物を予算、好みにより使い分けます。
 天井・腰壁にはムクの羽目板を状況により使います。材種はパイン・杉・桧などです。塗装は自然塗料を使い、ムク材の特性を活かしながら、住む人はもちろん、塗る人の健康にも配慮しています。
 「基礎について」の項でも少しお話しましたが、当社では、住む人の健康とリサイクル時の環境汚染の事を考え、床下や壁内の木材は薬剤処理はしません。これは高気密住宅においては特に避けて通れない重要事項です。その代わり、白アリに対しては危機感を持ってこまめに点検する事が大事です。万が一発生した場合、最小限の薬剤で局所的に処理すれば良いでしょう。

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ムクフローリング
羽目板



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各種自然塗料
 「自然素材を使ってバリアフリーにしただけでは健康住宅とは言えない」と言いましたが、まさにその通りで、段差をなくしてバリアフリーだと安心していてもだめです。段差をなくすのも大事かもしれませんが、それよりも重要なのは、温度の段差をなくす事ではないかと思います。段差で転んで死亡する人は少ないと思いますが、温度差により脱衣場・浴室・トイレで死亡する人は、全国で交通事故死の1.5倍もあるという事なので、温度の段差をなくす事は非常に重要だと思います。あとは、アトピー性皮膚炎・喘息の原因とされる結露・カビ・ダニの発生をなくす事と、24時間室内が新鮮な空気の中で生活出来る事が重要です。
 以上の事から、高断熱・高気密な高性能の家造りでないと健康住宅は出来ません。断熱・気密・換気は3点セットです。どれ一つ欠けても高性能の家は出来ません。

伊東工務店でよく使用する屋根材
 (伊東工務店でよく使用する屋根材は)地震に対して有利な軽い物、台風等、風に対してビス等で強力に留める事が出来る物、メンテナンスがなるべくかからない物という条件に合う、コロナ金属瓦葺、ガルバニューム鋼板段葺を採用しています。(雨がもらないという事は言うまでもありません。)

コロナ瓦
ガルバニューム鋼板に自然石を吹き付けた物(30年保証付)

伊東工務店でよく使用する外壁材
 伊東工務店の外壁はほとんどが塗り壁です。メンテナンス、コンキング等に問題があるモルタル、サイデングは使用しません。塗り壁は出来るだけクラックが発生しないように、材料の選定と下地の施工に注意が必要です。
 伊東工務店でよく使用する外壁材はフランス漆喰モノプラル、白州そとん壁です。好みと予算で使い分けます。下地は波型一号ラスを使用して白州そとん壁下塗り用を塗り、強度UPをはかり、クラック対策の対アルカリ処理のファイバーメッシュを伏せ込み、丈夫な下地を造ります。下地板は乾燥材を乱張りするのは言うまでもありません。

モノプラル
外気中の炭酸ガスを吸いながら50年掛かって石化する外部塗壁材

白州そとん壁
25年間フリーメンテナンスの自然素材100%の外部塗壁材

伊東工務店でよく使用する内部仕上材
 伊東工務店では内壁仕上材はなるべく自然素材を使用するようにしています(予算、好みにより使い分けます)。予算の関係でクロス貼をする場合は環境壁紙(エコクロス)を使用します。もちろん糊はでんぷん糊、F、4スター対応糊を使用します。

◎消臭、調湿性能に優れた呼吸する自然素材の塗壁材
ほたて漆喰壁
和紙塗壁レーベン
シラス、中霧島壁
珪藻土エコクイーン




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ガルバニューム鋼板段葺仕上


波型ラス
ラスが平らでなく波型になったものです。ラスが下地モルタルの裏表にくるようになり、鉄筋コンクリートのW配筋と同じ理屈になり、強度が出てクラック防止にもなります。



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波型ラスとファイバーメッシュ



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ファイバーメッシュ伏せ込み作業中


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シラス中霧島塗壁作業中
 
断熱・気密について
 当社で施工する断熱工法は、板状の断熱材を柱の外側に張る外張断熱工法(外断熱)です。近頃世間では内断熱がどうの外断熱がどうの、グラスウールがどうのスチレンがどうのとお互いの弱点探しの議論が行われていますが、全てに優れた材料や工法はありません。優れた所があれば必ず弱点もあります。要は、条件や予算を考えて、その弱点をカバーできる施工法なり材料の使い方なりを考えて選択すれば良いと思います。
 以前は当社も内断熱をしていましたが、外断熱にした理由は、施工面で誰が施工しても内断熱に比べて高断熱・高気密に仕上げやすいためです。内断熱の防湿シート張りの施工ミスや、不注意で知らない間に穴が開いてしまって壁内結露が発生するといった心配がありません(外張断熱は露点が構造体の外側に来るので安心です)。断熱材を外側に張る事で、断熱ラインが途切れることなく基礎や木構造体をスッポリ包むため、熱容量が内断熱の約3倍大きくなり、保温性が良くなります。この事は、省エネルギーだけでなく住み心地にも関係します。

 熱容量の大きいベタ基礎は、夏は冷気を蓄えて涼しさが得られ、また、冬は暖かさを蓄熱して安定した熱環境を作れます。住み心地の良い熱環境を作るために意外と知られていないのが、床や壁の表面温度についてです。熱は高い方から低い方に流れます。従って、夏は床・壁の表面温度が人間の皮膚温度より低いと、そこに熱が奪われて涼しさが感じ取れます。輻射熱(人と物との熱のやりとり)による体感温度、いわゆる土蔵やトンネルに入った時にひんやりと涼しさを感じるのと同じです。冬の場合は、地熱を蓄えた熱容量の大きいベタ基礎や木構造体が、日中の熱を蓄熱して夜間放出するため、やわらかい暖かさが感じ取れます。外断熱されたベタ基礎の表面温度は冬で12℃〜15℃くらい、夏で24℃〜26℃くらいです(当社体感ハウスデータ)。この事により、冬場は夕方6時に室温20℃の状態で暖房を切っても、朝8時の時点で15℃前後までにしか下がりません。今年の最低気温-7℃の時で12℃でした。また、断熱材を柱の外側に張ることで壁内部に通気層を取ることができ、木材を乾燥させて永持ちさせると同時に、快適な温熱環境を造り出す事ができます。また金物等もすっぽりと包むため、内断熱のように熱橋による金物の結露で木材を腐らす心配もありません。
 断熱は断熱材の性能だけでなく、外部建具(サッシ)の性能が重要です。熱の出入りの40%〜50%が窓からだと言われているので、サッシ・ガラスは出来るだけ最高の水準の物を使いたいです。当社で使用するサッシは、ペアガラス入りの樹脂サッシ(性能はペアガラス入りのアルミサッシの2倍)です。アルミは樹脂の1,000倍熱を伝えるので、いくらペアガラスを入れても、枠のアルミに結露する可能性があります。ペアガラスも予算が許せば東・西側は遮熱断熱ペアガラス、北側は断熱ペアガラスを使うと良いでしょう。また、夏対策として軒を深く出したり、日除けシートの取り付けや落葉樹を植えたりして、熱を取り込まない工夫をすることが重要です。この事を怠ると、保温性が良いために、一旦熱を取り入れると内部温度が高くなってなかなか下がらず、暑い部屋で過ごす事になります。冬の場合は夏と逆になるので、日中の太陽熱を取り込めば、夜までやわらかい暖かさが残ります。

 断熱以上に重要なのが気密だと思います。機密性が悪いと部屋の上下温度差が大きくなり、冬場足元が寒いという現象や、夏場の冷房除湿効果にも影響します。特に、吹抜けなどは不快になります。「断熱・気密・換気は3点セット」と言いましたが、気密が悪かったら計画換気はできません。穴の空いたストローでいくら吸っても飲み物が飲めないのと同じで、高気密が前提です。換気装置を取り付けただけでは換気はできません(部屋の空気は良くならない)。法改正により換気装置の取り付けが義務づけられましたが、この事には言及していません。罰則規定まで付けながら、不思議です。圧損計算までしても意味はありません。
  気密性能は、相当隙間面積(C値)0.7cm2/m2以下が必要です。ちなみに当社の高気密住宅の気密施工実績は0.1cm2/m2〜0.3cm2/m2です。これは気密テストにより数値で結果が出ますので、特に入念な施工を心掛けています。その結果、24時間計画換気システムにより、常に快適な空気環境を作ることができます。
 当社は健康を優先に考え、三種換気工法を奨めます。温熱環境を考えると熱交換型一種換気工法となりますが、完璧にメンテナンスができる方でないと奨めません。三種換気とは、居室にきれいな空気の取り入れ口(自然給気口)を取り付け、機械換気による排気口をトイレ・洗面・台所といった臭いや水蒸気の発生する所に設置し、排気口ごとに排気量を設定して計画通りに排気する工法です。当社で使用するアルデ社の換気システムは気圧フィードバック弁(特許)を持っていますので、ダクトの曲がりなど関係なく、誰が施工しても計画通りの空気量を排気する事ができます。一般の換気システムではこういった事はできません。24時間換気をすることで、室内の空気はいつもきれいで臭いもこもりません。電気代も月々1,000円程度ですので、1,000円で健康が買えるなら安いものです。当社の体感ハウスにいらっしゃるお客様は、換気システムの説明をしなくても「ここは他の展示場と空気が全然違う」と口々におっしゃいます。
 外断熱の弱点と言われる、外壁の安定性に欠ける点についての対策としては、受桟木の取り付けや専用パネルビスを、外壁の重量・断熱材の厚さによりビスパッチを決め、安全確実な取り付けを行っています。



 以上が、伊東工務店の家創りのこだわりです。このこだわりを実現させるための手段の一つとして、当社はソーラーサーキット工法(株式会社カネカの特許工法)を2001年春より採用しています。まだ全棟採用とはいきませんが、いずれ全棟採用するよう努力していきます。この工法は、高断熱・高気密でありながら、通気という相反する性能を併せ持つ事が最大の特長です。山陰の気候風土に適した木造住宅を造るために非常に理にかなった工法で、季節に応じて衣替えができます。春と秋はダンパーを開けて内部木材を陰干しで乾燥させ、冬と夏はダンパーを締めて、冬は寒さを防ぎ、夏は湿気を防ぎます。山陰の夏はダンパーを閉めた方が良いようです(当社体感ハウス実感。別途改良)。ソーラーサーキット工法については、詳しくはソーラーサーキットの家をご覧下さい。

▲Top

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屋根断熱、気密工事完了
通気ドーブチ施工



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屋根断熱、気密工事完了



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空気層のある樹脂サッシ断面



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日除けスクリーン(左)
樹脂サッシ(右)



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気密テストの様子
総相当隙間面積24cm2のすばらしい気密【▲拡大できます】



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24時間換気システム
(アルデ)
上は小屋裏換気システム



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外断熱専用パネルビス
有限会社 伊東工務店 島根県出雲市大津町3614-55 TEL 0853-22-2031 FAX 0853-22-9495